June 13, 2005
餌の話
私はあまりピンクマウスを与えない。
完全食なんてこの世には存在しないと知っているからだ。確かにミルワームや鶉に比べると栄養価は高いが、ピンクマウスだけに頼るのは良くないと思っている。
例えば師匠の種類であるスピックスコノハズクはアンデスの森林地帯に住み、主食を爬虫類と昆虫、僅かの哺乳類で賄う暮らしを営んでいる。この暮らしを延々続けてきて今にいたるわけで、人間が繁殖するようになったから急に消化の仕組みが変わるかといえば、そんな事はない。
猛禽は咀嚼を行わないし、筋胃があまり発達していない為、消化の殆どを胃液と腸内細菌によって賄っている。全猛禽が同じ種類の腸内細菌を飼っている訳ではなく、その生息環境・食生活にあった細菌類を保有していると思われる。
師匠には爬虫類や昆虫をメインにしつつ哺乳類を与えれば本来の暮らしに似た食環境が整うんだろうが、ランニングコストがバカにならない。しかも爬虫類は総じてエネルギーが低く消化が悪い連中ばかりなので(カエルはまあ別として)大量の餌を必要とする。出費とのバランスを考えるなら、ネズミと鶉、ヒヨコと昆虫類を併用しながら飼育することになるわけだ。
スピックスは寿命が約10年〜15年と言われるが、自分が飼っている個体が必ずそこまで生きるなんて保証はない。私はあえてピンクマウスを主食にはせず、ホッパーマウスと鶉を中心にしつつ栄養剤で彼を飼育している。彼は今年で3歳になった。私と出会ってから2年以上経つことになるが、換羽が長引くこともなく、餌鳴きも皆無でどうにか無事に暮らしている。今後昆虫や爬虫類も少し増やしていき、野生での食環境に近づけつつ、栄養が偏ることのないように管理していきたい。
メンフクロウは、主にネズミを主食として生きている種類だ。勿論他の餌を食べないわけではないだろうが、ドニャーナ国立公園内で確認されているメンフクロウのペレットを調べたところ、ネズミが高い割合を占めていたことが分かっている。ドニャーナ国立公園ではこれを利用して、絶滅の危機に瀕しているあるネズミの、現在の分布を調べるデータとして利用している(先の世界遺産でも出ていましたね)。
blancaの餌はホッパーと鶉で、ホッパーの割合を高くしている。8割くらいはホッパーだ。彼女が吐き出したペレットは出来るだけ分解し、どの程度が廃棄されたのか確認するようにしている。鶉は栄養剤を添加しての給餌としている。
野生下で、猛禽がピンクマウスを食べる回数がどの程度あるものだろうか。殆どは成長したものをハンティングして食べている訳だ。私は出来るだけ本来の食生活を再現させてやりたいと思っているので、餌にはペレットになるような材料(骨や羽毛等)を一定の割合で加えている。出ないより、出させたほうが良いと思っているからだ。また、ピンクマウスを与える場合と、アダルトやホッパーを与える場合では餌の下拵えにかかる手間が数倍違うが(ピンクマウスはそのまま与えてしまうからなあ)、その手間をかけてでも今の方法でいきたいこだわりがあるのだ。
最近の飼育者から見れば神経質に見えるかもしれないが、私なりのこだわりなんだよね。自分が飼育する連中の本来の生育環境や食生活を調べることは、今手元に飼育している彼らをよりよく知るための基本的なステップだと思うからだが、自分が飼ってる個体の原産地を知らない人のほうが最近は多いのかもしれない。
それがいいことなのかどうかはここでは触れないが。
Posted by urushi at 12:45 AM | Comments (24) | Full Text
May 28, 2005
余談:梟の飼育小屋について
いくつかコメントを頂いている件へお返事:
梟を犬や猫、大型オウム用のケージで飼うことについて::
羽以外にも様々に悪影響が考えられるので、個人的には良くないと思っています。梟を飼育する上で重要なポイントの一つに、「人間の目を避けられる場所があるか」という点があります。ケージに何か覆いをしているならともかく、何も覆いのないフルオープンな環境の場合は、ケージ内にどこか隠れることが出来る場所を設けてあげたほうがよいのではないでしょうか。
また、羽を痛めやすい環境であり、怪我を誘発する環境でもあると思いますので、ケージの内側から合板を貼り付けるなり、金網が直接猛禽に触れない工夫を施したほうが、より猛禽が過ごしやすい環境になると思います。
個人的な意見ですが、小型猛禽に関してはやはり木製の専用飼育箱で飼う方法をお勧めしたいです。小屋のサイズは種類によって変わるのでここでは述べませんが、置き場所については人間の腰より上がよいと思います。あまり低いと人間の動きが気になって落ち着くことが出来ません。
猛禽の飼育方法については、私は保守派なので基本的な事以外は行いませんが、基本的なことを押さえていれば、体重計に乗らなかったり、足革がないとコントロールが出来ないといったような状態にはなりにくいです。
梟は家禽化されていないため、CB個体であっても基本は野生動物として扱うようなスタンスでいたほうが良いと思っています。CB個体は人間に慣れてはいますが、だからと言って生活様式まで人間式とは限りません。野生化での生態をよく理解して飼育環境を整える必要があると思います。
Posted by urushi at 12:44 PM | Comments (0) | Full Text
May 23, 2005
梟の管理:体重編
梟の飼い方ページを作って欲しいと、よく拍手でコメントを貰う。
一旦は作りかけたが、すぐ止めた。口で説明するのも難しいのに、文にするのは更に難しい。生き物の訓練なんて本を読んだだけで出来るような行為ではないと思っているし、5年やそこらの経験がなんの役に立つだろうかとも思うのだ。私だって知らないことが多い。
でもあえて、これから猛禽を飼おうと思っている人に対してアドバイスを書いてみようと思う。万能の訓練法なんぞこの世にはないし、絶対的に正しい飼育法もないので、あくまでも参考程度に捉えておいて欲しい。
毎日体重を測る
毎日、必ず体重を測るべきだ。
出来ればグラフを作るといいが、面倒ならただ単に日付と時刻、体重を書き連ねていくだけでもいい。餌を与える前にまず体重を測り、前日と今日の差を確認する。昨日よりどの程度減ったのか、何故減ったのか考える。そして、今日の餌の量と、目標とする体重を考える。
例えば、今日のblancaの体重は334gだった。餌を与える前の体重なので、空腹時の体重が334gということだ。彼女はうちに来てからまだ2日程度しか経っていないので、この体重が軽いのか重いのは私にはまだ自信がない(いや、本当は軽いことは分かっているが・・・)。日曜日の夜の時点で、彼女は365gあったわけだから、1日で30g近く減っていることになる。今日、明日、明後日と計測を続けていけば、彼女が普通に1日を過ごしたらだいたいこの程度減る、というデータが得られる。この、1日にどの程度減るのが普通なのかを知るのがとても大事な事なのだ。
※ちなみに、師匠はだいたい5g〜8gくらい減る。
この1日に減ってしかるべきグラム数を超えて減っているときは、自分が不在の間に何か激しく動き回ったのか、それともストレスや環境で消耗したのか、とりあえず何らかの原因で彼女に変化がおきたことが分かる。寒かったのかもしれないし、暑かったのかもしれない。もしくは、何かが怖かったのかもしれないし、何処かを痛めているのかもしれない。理由は様々に考えられる。
1日に減ってしかるべき量は、季節によっても変動する。だから、出来るだけ体重計測をサボるべきではない。きっとこのくらいだろう、と思いながら飼っていると、実は思いのほか減っていることがある。また、梟達の体調の変化に気付けず、ある日突然落ちてしまう(亡くなってしまう)原因にもなる。初心者が落とす最大の原因は、体重不足、栄養の偏りにあると言ってもまったく過言ではない。私が知る範囲での落鳥は、殆どが長期間の体重不足が原因だ。
とくに小さい梟は体重管理がシビアなので、連中こそ毎日体重を計測すべきだと思う。大きい連中と違い、数グラムが命取りになることを肝に銘じておいて欲しい。
はっきり言って体重測定なんて面倒くさい。
しかし、この程度で面倒くさいと思っていては、梟との距離を縮めることは出来ない。距離を縮めるには、もっと面倒くさいことが山ほど待ち受けている。しかも、体重計測は基礎の基礎なので、ここがしっかりしていないと訓練に進めない。
餌は一気に与えず、必ず小分けにする
餌を少しやっては止め、やっては止め、を繰り返しながら、ある程度時間をかけて与えるほうがいい。人間と連中が触れ合えるのなんて極端に言えば餌のときぐらいなものなのだから、少しずつ少しずつ与えながら、何度か体重計に呼んで体重の増減を確認し、前日の終わり頃の体重に近くなってきたら、残りの餌で小屋へ呼び、小屋に入ったら最後の餌を与えて、放鳥を終了するように持っていければ上出来だ。
この辺は、残念ながら文章で表すのは非常に難しい。実際にやっているところを何度か見学すれば、すぐわかると思う。そもそも、見学できる場所がないという問題があるわけで、どうしたものかな。
Posted by urushi at 11:39 PM | Comments (2) | Full Text
